ホテルの部屋は寒い
あなたが熱いだけ
くすんだ天井に
息たえた虫がはりついている
煙草のけむり吹きつけながら
あなたのすすり泣ききいてる
さよならがそこまで近づいて
なおさら寒い
雨だれが悲しげな挽歌を
夜通し歌いつづけて
人の世は真冬の
灰色につつまれて行く
あなたをひとり残し
静かに部屋を出る
いつしか夜か明けて
長雨の街は光っている
あなたの肌はあまりに熱く
真冬のつめたさを感じる
この腕にいつまでのこるだろう
あなたの熱さ
色のない風景にせめても
真赤な傘で色づけ
凍てついた舗道を
ゆれながらメトロまで行く
雨だれが悲しげな挽歌を
夜通し歌いつづけて
人の世は真冬の
灰色につつまれて行く
人の世は真冬の
灰色につつまれて行く